連日の猛暑に 少々夏バテ気味でだらだらした体に喝を入れ
森アーツセンターギャラリーで開催中の
「大英博物館 古代エジプト展」に出かけました。
実のところ、この展覧会にはあまり興味がなかったのですが
テレビで紹介されていたのをみて
古代エジプトの死生観に惹かれて行ってみることにしました。
古代エジプト人にとって、現世は仮の世界で
人は死後に冥界の旅を経て、来世で再生・復活を果たし
永遠の命を与えられると考えられていたそうです。
しかし、死者は誰でも再生・復活して極楽の地に辿り着けるわけではなく、
冥界の旅には、行く手を邪魔するさまざまな困難が待ち受けており
そのひとつひとつを乗り越え
そして最後に、42項目の生前の行いに対する審判を受けなければならないのです。
ひとつでも罪を犯していれば「地獄行き 」です。
ちなみに、その42項目の審判とは?
盗みをしなかったこと
悪事をしなかったこと
強奪をしなかったこと
嘘をつかなかったこと
詐欺をしなかったこと などなど…
常識的で当たり前のことばかりなのですが
では、果たして自分はこの審判にかけられたらどうなのか?と考えると
盗み→ してません
悪事→ スピード違反はダメかしら?
強奪→ してません
嘘→ そりゃもう数知れず…
詐欺→ 夫にしょっちゅう「結婚詐欺だ!」と言われてます。
(結婚前と後では別人のように違うから)
というわけで、最初の数項目であっけなく「地獄行き」です。
それにしても、古代エジプト人が来世で永遠の命を得るために
この42か条に背かないような生き方を心がけていたとしたら
さぞかし平穏な社会であったのではと思います。
展示品の中で、最も印象に残ったのは37メートルに及ぶ
「死者の書」と呼ばれる、ミイラと共に棺に納められた
冥界を無事に旅するために書かれた、いわばガイドブックのような巻物。
そして、もうひとつ…ミイラでした。
(CTスキャンで、実際に中に何千年も前の遺体が
納められていることが確認されています。)
展示品のすべてが、複製ではなくて実際に何千年も前に作られ
ずっと砂漠の中で眠っていたものなのだと思うと
その歴史の重さに圧倒され、ある種の感動を覚えましたが
ミイラに関しては、来世での永遠の命を信じ
家族によって大切に弔われた遺体が
超モダンな六本木ヒルズに持ってこられて展示されていることに
若干違和感というか、気の毒のような複雑な気分になったのも事実でした。
しかし、世界最長の「死者の書」をはじめ
大英博物館が誇る歴史的価値の高い展示品を
このように身近で見れるチャンスはそうそうありません。
暑い日が続きますが、涼みがてら(ギャラリーの中は寒いぐらいでした)
六本木へ出かけ、古代エジプト人の信じた
死後の世界に思いを馳せてみるのもいいかもしれません。