横浜市青葉区大人のピアノ教室 あおばピアノの部屋ブログ

音で表現するということ

教室のコンサートまで約1ヶ月となりました。
これから本番までは、
間違いやすい危険箇所をできるだけなくすことはもちろんですが
曲のイメージをしっかり表現することも意識して
練習するようにしてみてください。

本番が近づくと、みんな思うことは同じ。
「止まりたくない!」「間違いたくない!」
そして、正しい音をおさえることが最優先になり
指を動かすほうは安定感がでてくるものの
逆に表情がどんどん乏しくなり
つまらない演奏になってしまうのです。

もちろん、弾くことが安定しないと表現どころではありませんが
安全運転のあまり、無表情になってしまっては
本当の意味での「音楽」ではありません。

でも、表情をつける…というのは
弾けないところを弾けるようにする練習より
ずっとわかりづらくて難しいですね。
一体何をどうすればいいのか?

もう見慣れたはずの楽譜でも、改めてじっくり見直すと
「あれ、こんなことが書いてあった」なんてことが
よくあるものです。

簡単にすぐ出来ることは
譜面に書かれた強弱やテンポの変化が
きっちり表現できているかの確認です。

レッスンでも最近、
「やっているのはわかるけれど、その10倍ぐらい
大袈裟にやるつもりで弾いてみてください!」と
お願いすることが多いです。
私にも経験がありますが、自分では精一杯表現しているつもりでも
人にはなかなか伝わらないものですね。

表現ということに関しては、
何よりもまず、自分がその曲をどのように弾きたいのか?
イメージをしっかりもつことが大切です。

そして、イメージするような曲想に仕上げていくには
どのような工夫が必要かを考えていきます。
タッチとか、右手と左手のバランス、
テンポの動かし方、間の取り方など
ちょっとしたことで音の表情が変わってきますので
レッスンの時に一緒にいろいろ試しながら
曲の仕上げをしていきましょう。

・・・と、こんなことを書いているうちに
私が学生時代に受けた「表現」についての
おそろしいレッスンを思い出しました。

ハンガリー人のジュラ・キシュ(Gyula Kiss)先生の自宅で
バルトークの「戸外にて」のレッスンを受けていた時のこと。
「戸外にて」は5曲からなる組曲なのですが
その最終曲「狩」が、どうしても先生の要求するような
追いかけられる恐怖感、緊迫感が十分だせない…。

弾いている途中で、ついに先生はスッと部屋から出て行ってしまいました。
「あ~、怒っちゃったんだ 」と泣きたくなったその時
呼ばれて振り向くと、ナント先生が真顔で包丁を振り上げていて
私の首に手をかけたのです。

ショックと恐怖のあまり、声も出なければ動くこともできず
私はまさしく「フリーズ」状態!
後にも先にも、あれほどショッキングな体験はありません。
なにせ、こんな顔の先生ですから!迫力あります。

Kiss先生

長ーーーーい時間に思えましたが
おそらく2~3秒で先生はニコっとして
「この感じを表現するんだよ、わかる?」
・・・なんとも過激なレッスンでした。

もちろん私はそんなことはしませんからご安心を♪

■レッスンを受けたバルトークはこんな曲です(YouTubeより)
戸外にて:第5曲「狩」

■キシュ先生の演奏も是非お聴きください。古い録音ですが美しいです♪

◆フランク:「前奏曲、フーガと変奏曲」より前奏曲 Op.18

◆ブラームス:「間奏曲」Op.117-1