横浜市青葉区大人のピアノ教室 あおばピアノの部屋ブログ

食べない「大福」の効用

レッスンをしていて
「ここはこんな音色で弾いてもらいたいな。」と思う時、
実演して私の指や手・腕の動きを見てもらい真似て頂く場合と、
言葉から想像力を働かせてトライして頂く場合の2通りがあります。

実際に見て頂く方がわかりやすいと思うかもしれませんが、
今までの経験から言うと、動きを真似ようと思っても
逆にあちこちに力が入って不自然になってしまったりして
音色が劇的に変わるかというとそうでもなく
実はニュアンスを言葉で伝えて感覚でトライして頂く方が
期待した音色がかえってくることが多いような気がします。

私がよく使うのは、手首を柔軟に動かしてもらいたい時に
「雑巾がけしているように」、
テヌートやレガートで弾いてもらいたい時に
「粘土のなかに指を入れているように」、
p (ピアノ) で丁寧に弾いてもらいたい時に
「ガラスの鍵盤を弾いているように」など。

他にも「水の上を歩いているように」とか
「ベタベタの床を四つん這いになって前へ進もうとしているように」とか
実際には誰も経験したことないような表現を使ったことがありますが
皆さん、一生懸命にイマジネーションを働かせ
私が期待している音色に近い音を出してくださいます。

こういった表現は、べつに私が
日頃考えてネタ帳を作っているわけではなく、突然出てくるもので
自分でも言ってから「なんだコレ?」と思うこともありますが
思わぬヒットを生むこともあります。

最近のヒットは「大福」です!

大福

手首をやわらかくして、
きれいにレガートで旋律を歌ってもらいたかった時に
なぜか突然飛び出た「大福」。

「大福に指をゆっくり入れてあんこどこかな~?ってさぐる感じ」と
お願いしたら、見事一発で第一関節は緩めず手首を緩めて
私が期待したとおりの音色を奏でて下さったのです。

もちろん、いくら私でも
実際にはそんなお行儀の悪いことをしたことはありませんし
教室の皆さんもそうでしょうが、想像力とはすごいものです。

更に、たっぷりした f (フォルテ)にしてもらおうと思い
「そのまま、もう少し遠~~くにある大福の
あんこの奥のほうまで指を入れる感じ」とお願いしたら
これまたバッチリときれいな音でフォルテを弾いて下さいました。

「大福」、効く!
それ以来、結構頻繁にレッスンで「大福」を使っていますが
かなり高い確率で、期待どおりの良い反応が得られています。

ただ、これは誰にでも効く表現というわけではなく、
中には「大福」と言われても「 何それ???」と戸惑うかたもいますし
そういった抽象的な説明よりも
「指はこのぐらいの角度で鍵盤に当てて
腕はこんな感じで緩めて……」というように
具体的に動きを言葉で説明して差し上げた方が
わかりやすいというかたもいます。

音色の弾き分けを、できるだけわかりやすくお伝えするために
これからもどんな表現が飛び出してくるかわかりませんが
ピンとこなかったら、遠慮なくNGサイン出して下さいね。