横浜市青葉区大人のピアノ教室 あおばピアノの部屋ブログ

至福の時~ペライア♪リサイタル

昨夜、サントリー大ホールで開かれた
世界的に活躍するピアニスト、マレイ・ペライア のリサイタルへ行ってきました。

ペライア

ピアノの演奏会へ行くと、悲しいかな……
「なるほど、あそこはそういう解釈か」とか「フレーズの取り方は」など
どうしても半分勉強しているような耳で聞いてしまい
純粋に演奏の美しさに感動することはあまりないのですが
以前、カナダでペライアがアンコールで弾いた
シューベルトの即興曲Op.90-2を聞いた時
その美しさに思わず涙が出てきました。

何があっても、このリサイタルは行きたい!
チケット販売初日、夕方になってようやく取れた席は、
1階後方のかろうじて手の動きがみえる場所。
それでも手に入れられてラッキーでした。
チケットは完売。昨夜の大ホールは見事にぎっしり隅々まで
ペライア・ファンで埋め尽くされていました。

プログラムは、
バッハ: フランス組曲 第5番
ベートーヴェン: ピアノソナタ 第27番
ブラームス: 4つの小品 作品119
シューマン: 「子供の情景」
ショパン: 「24の前奏曲」より第8番、マズルカ第21番、スケルツォ第3番

「好きな作曲家は誰ですか?」とよく生徒さんから聞かれることがあるのですが
いつも「3大Bです」と答える私。 ~ Bach, Beethoven, Brahms ~
昨夜のプログラム前半は、私へのプレゼント??と思いたくなるような選曲。

会場が暗くなり、あれだけ広い空間に2000人近い人が居るというのに
こわいまでの静寂・・・ペライア登場までの緊迫感・・・すごいです。
中肉中背、けっしてハンサムで見栄えのするピアニストではありませんが
これが「世界一流」と評される芸術家の存在感なのだと思いました。

割れんばかりの拍手で迎えられたペライアが、
最初に奏でたバッハの美しかったこと!
同じ曲を彼が演奏するCDも持っていますが、当たり前のことながら
ホールでの生演奏に勝るものはありません。

ペライアは、さまざまな音色を絡めて
ハーモニーの中から絶妙なバランスで隠れた旋律を浮き立たせてくるので
音楽に深みがあり、独特の立体感を作り出します。
ピアノソロではなくて、まるでオーケストラのような~。

特にその彼の演奏が生き生きしたのは、シューマン の「子供の情景」でした。
タイトルのついた短い13の曲からなる作品ですが、
まるで絵本でも読んでいるかのように、
次々とまさしく「子供の情景」が繰り広げられ
こんなにシューマンを楽しく聞いたのは初めてでした。

あらためて表現 というものの奥の深さを感じました。

前半のプログラムを終え休憩に入る前に、
すでに「ブラボー」の声とスタンディング・オベーションを受け
拍手が鳴りやまず3回も舞台へ戻されたペライア。
全プログラムを弾き終えた後、どれだけ聴衆が熱くなっていたか想像できるでしょう。

アンコールは、ショパンのエチュードOp.10-3「別れの曲」、
エチュードOp.10-4、
そして最後に なんと私が20年前に涙した
シューベルトの「即興曲」Op.90-2 を弾いたのです。

まさしく[至福の時]でしめくくった1週間でした。

サントリーホールでは、「録音・録画は固くお断りします」とアナウンスしていましたが
イギリスでは誰かが隠し撮りしたようで
アンコールでペライアが弾くシューベルトの「即興曲」Op.90-2が
You Tube に投稿されていました。
画像も音質もよくありませんがもしご興味があれば是非聞いてみてください。
(私が涙した演奏は、もう少し繊細でしたが・・・)