銀座の教文館で開かれている藤城清治さんの影絵展「幸せを呼ぶ光」に行ってきました。
藤城さんの影絵は、色の美しさや繊細なライン、
そして楽器が描かれていることも多いことから
以前から大好きで、展覧会へも何度も行ったことがあります。
今回の卒寿記念の影絵展は、7月から開催されていたのに行きそびれていて
もう今月15日で終わってしまうというので諦めていたのですが
生徒さんから「絶対に行ったほうがいい!
軍艦島など新しい作品がとても素晴らしかった!」と強くすすめられ
日曜レッスンが終わってから閉館間際に駆け込み、ギリギリセーフで観て来ました。
会場が狭く、平日でも大勢の人が観に来ていて身動きが取れないほど・・・と
いうことでしたが、さすがに3連休中日の閉館間際は
ガラ~~ンとすいていてラッキーでした!
今年91歳になる藤城氏、去年は病に倒れ制作活動を続けることが困難な時期が
あったそうで、その時の苦しい思いが書かれた直筆のメッセージが展示されていました。
『<略>・・・ もし、絵が、デッサンができないようなら
90歳まで生きていてもしようがない。
9階の病室の窓から飛びおりてしまおうか と思ったことがあった。
しかし、勝つんだ!挑戦するんだ!病気に勝ち抜くんだと思った。
病気を乗り越えてこそ
ほんとうの 背すじをのばしたすてきな絵が描けるんだと思った。
人間はいつかは病気をする、不幸に出合うこともある。
それをのりこえてこそ、生きる喜びがとびだしてくるんだ。
ぼくは、これからこそ ほんとうのいい絵
生きるよろこびを描いていこうと思っている
みんなもいっしょに、この展覧会で
生きるよろこびを味わってください。』
『生きるよろこび』…なんとも重い言葉です。
こうして生きて、美しいものを見たり聞いたり、
楽しくおしゃべりをしたり、美味しいものを食べたり
いろいろな所を旅したり…たくさんの喜びに恵まれているのに
坦々とした毎日や健康であることの有り難さを忘れて
ちょっとしたことで不平不満を言ったり、欲張ったりしてしまう。
暗い会場の中に鮮やかに浮かび上がる数々の影絵に囲まれていると
じわじわと「生きるよろこび」がわいてくるのを感じました。
作品をいろいろなかたちで楽しんでもらいたい、という藤城さんの思いから
展覧会では珍しく、会場内での写真撮影が許可されています。
実際の、光が背後から当てられた美しい影絵とは比べものになりませんが
撮って来た写真をいくつかご紹介しておきますね。
こんなにすいている会場でゆっくり影絵を楽しめて本当にラッキーでした!
「恋人の聖地~幸せの鐘~」
「上を向いて歩こう」
「軍艦島」
「つり橋はぼくのハープ」美智子妃殿下が大変気に入られて、原画を献上されたそうです
「広島赤十字病院の曲がった窓枠」