横浜市青葉区大人のピアノ教室 あおばピアノの部屋ブログ

ジャズピアニストとの出会い~再び

先日ようやく、旧「気まぐれダイアリー」からこちらへ
10年間分のダイアリーの引越し作業が終わりました。
気まぐれに綴ってきたので、膨大な数ではないにしても
それでも300を越えていて、
コピー&ペーストの単純作業ですが
「懐かしいなぁ。」などと感慨にひたりながら進めていくと
想像以上に大変で時間がかかってしまいました。

でも、この作業のおかげで
当時は想像もしなかった衝撃的なことを知りました。

きっかけは、9年前のこの日のダイアリーの
引越し作業をしたことでした。

2012年6月26日 ジャズピアニストとの出会い

教室では「渡邊淳一さん」(偽名)として
コンサートに参加されていましたが
実は「John Pool」という名前で活躍されていた
プロのジャズピアニスト&作曲家。

訃報が届いた日のダイアリーを読み返しているうちに
ふとJohn Poolの演奏を聴いてみたくなり
久しぶりに彼のホームページにアクセスしてみると
「あれから5年の月日が流れました。」……という書き出しの
4年前にご家族が更新されたブログにたどりつきました。

そこには、亡くなる3年前に余命4ヶ月の宣告を受けていらしたこと、
闘病中のこと、葛藤されたご様子などが、
ご家族の愛情あふれる言葉で綴られていました。

体調が良くないことは当時も気づいてはいましたが
まさかそのような状況のなかにいらしたとは
まったく想像もしませんでした。

拝読しながら、頭の中を数字がぐるぐる回り始めました。
亡くなる3年前というと、2009年に余命宣告を受けていたということ。
でも2010年5月、そして11月に開いた教室の
「ショパン&シューマン生誕200年記念特別コンサート」に
参加されているのです。

しばし、茫然としました。

いったいどのような気持ちでレッスンに通い続け
コンサートに臨まれていたのだろう……。
想像するだけで胸が締めつけられます。

いろいろなことが思い起こされました。
11月のコンサートでは、ショパンのワルツ7番を弾いた渡邊さん。
プログラムが作曲年代順という構成だったので、
演奏順は最後から2番目でした。

「コンサートの途中から行って
弾いたらすぐ帰ってもいいですかねぇ?」

その時は、仕事が忙しいのだろうと思っていましたが
今思えば、体調のことがあったのでしょう。
すぐに終演だったにもかかわらず
最後に撮った全員の記念写真には入っていません。

客席では私の前の席に座っていて、
誰かが止まって弾けなくなりそうになると
ささやくような声で
「がんばれー!がんばれー!」と声援を送っていました。

すぐ後ろでビデオを撮っていた私は
その声が録画に入ってしまうのではとハラハラしましたが
そのような優しいところのあるかたでした。

10年以上も前のことなのに、
鮮明にそのときのことが思い出されます。
それほど存在感のあるかたでした。

余命宣告をされたなかで、
ギリギリまでレッスンに通い
クラシック音楽を少しでも上手に弾けるようになろうと
前向きに生きられたJohn Pool。

そんな彼と出会えたこと、8年間いっしょに
ピアノに取り組めたことに改めて感謝です。
もっともっとたくさんのクラシック曲に
チャレンジして欲しかったです。

教室には、「渡邊淳一さん」を知っているかたが
まだ何人かいらっしゃいますが
残念ながら会う機会がなかったメンバーにも
かつて、このような素敵な仲間がいたことを知って頂きたくて
もう一度、このダイアリーでご紹介したいと思いました。

ご命日にあたる昨日の夜、
ご家族がYouTubeにJohn Poolチャンネルを開設されました。
音楽家は、演奏や作品を聞いてもらうことで
いつまでも生き続けていられると思います。

クラシック音楽を弾く「渡邊淳一さん」も魅力的でしたが
本職ジャズピアニスト John Poolの演奏を是非お楽しみください。