「実はペダルの踏み方、よくわかっていません。」「今まで習ったことがありません。」「とりあえずなんとなく踏んでます。」など、最近ペダルについてこのような告白をうけることが続きました。
ひとことで「ペダルを踏む」と言っても、どこで踏むかや踏むタイミング、どのぐらいの深さで踏むかなどで音の響きは変わり、演奏の仕上がりに大きく影響します。
上手にペダルを使えないと、演奏効果を高めるどころか、音が濁ったりブツ切れに聞こえたりと逆効果になってしまうこともあるので、指を動かす練習と同じようにペダルを踏む練習も必要です。
「今さら聞くのは恥ずかしい。」と、なんとなくペダルを踏んでいる人は意外に多いのかもしれません。
そこで、レッスンで質問されたりコメントする頻度のたかいペダルの使いかたについて確認しておこうと思います。
まず、この記号。ペダルを「踏む」と「はなす(上げる)」タイミングを示す記号です。
では、下の楽譜(ランゲ作曲”花の歌”)のように「踏む」記号は書かれているけれど「はなす」記号が書かれていない場合。
「どのタイミングでペダルを上げればいいの?」というのがレッスンで一番多く聞かれる質問です。
正解は「踏む」記号が書いてある音を弾く時なのですが、皆さんが知りたいのはそれが「弾くのと同時」なのか「弾いた後」なのかというもっとピンポイントのタイミングについてです。
今までの経験からいうと、「弾くのと同時」と説明すると、たいてい皆さんの足はペダル記号が書いてある音を弾く前に上がってきます。
そうすると、前の音の響きが薄くなったり切れたりしてなめらかな響きをつくる効果が十分に得られません。
なので、レッスンでは「弾いた後」と説明するようにしています。
ただ、足は手の動きにつられやすく、手が上がれば足も上げたくなるので、頭で理解しても実際にそのタイミングで足の上げ下げをするのはとても難しく感じられます。
考えれば考えるほど手が動かなくなったり足が動かなくなったりで、すぐに正しいタイミングでペダルを踏めるようになるかたはいません。そしてそれは当たり前なので心配しないでいただきたいです。
そのような時は、実際に私の指と足の動きを見ながら響きの違いを聞き比べてもらうようにしています。
実際に音の違いを聞いて頂くと「こんなに違うのですね。」とびっくりされることが多いです。
その違いがわかると「自分もこのタイミングでペダルを踏めるようになりたい!」という気持ちが強くなり、ペダルの練習へのモチベーションも高まります。
「踏む」記号だけが書かれた、なめらかな演奏を助けるペダリングは『レガートペダル』とも呼ばれ、使う頻度が一番高く、是非ともマスターしていただきたいテクニックです。
なので、レッスンではできるだけそのタイミングで踏みかえられるようになるまで一緒に試して頂くようにしていますが、「もう一回やってみましょう。」「もうちょっとですね~。」などと言いながら何度か繰り返し試してもらっていると、時々「これは、いじめっぽくないか?」と不安になることがあります。
頭ではわかっているのに体が思うように動かないもどかしさは私ももちろん日々体験してわかっていますし、何度やってもできないと気持ちが萎えてくるのもわかります。大人の場合はそのうえ「できないと恥ずかしい」という気持ちもあります。
いくらレッスンだからといっても、”不快”と感じるレベルまで繰り返しお願いするようなことがないように気をつけていますが、実際に正しいペダリングをやってみてイメージをつかんで帰るのと、説明だけ聞いて帰るのではその後の練習が違ってくると思うので、「すぐに出来ないのは当たり前」と思って何回でも恥ずかしがらずにトライしてみて頂きたいと思います。
ペダルについてはまたここで少しずつ基本の確認をしていこうと思います。
「これが知りたい」ということがあれば、ここで皆さんとシェアしますので遠慮なくお知らせください。